はじめに
エレキギター用エフェクターの自作にあたり、信号の波形を観測するため、Hantek社のUSBオシロスコープ「6022BE」を購入しました。
一般的なスタンドアローン型のオシロスコープとは異なり、PCと接続して使用するタイプの製品で、価格は約9,000円と非常に手頃です。
この6022BEは、公式にはWindows 10までの対応となっており、ネット上でもWindows 11上の動作について情報が少なかったものの、実際に試したところ問題なく使用できました。
ただし、ドライバーのインストールにおいてWindowsセキュリティ設定の一部を無効化する必要があるため、業務用途での利用を検討される場合は十分に注意してください。
備忘録も兼ねて、Windows 11環境におけるドライバーおよび専用ソフトウェアのインストール手順やオシロスコープのセットアップ手順をこの記事にまとめておきます。
動作確認環境
OS | Windows 11 Home (Ver. 23H2) |
CPU | Intel Core i5-12400F |
RAM | 16GB |
外観と仕様
本体の他、プローブとその付属品が2セット、そして専用USBケーブルが入っています。
上記に加えて、ドライバーインストール用のCD-ROMも同梱されていますが、こちらはWindows 7までの対応となっていたため、今回は最新のバージョンをHantek公式サイトから直接ダウンロードして使用します。
製品の主な仕様は以下の通りです。
チャンネル数 | 2 |
周波数帯域 | 20MHz |
最大サンプリングレート | 48MS/s |
垂直分解能 | 8bit |
その他の仕様については製品ページのParameters欄をご参照ください。
インストール手順
ドライバー,ソフトウェアインストーラーのダウンロード
まず、Hantek公式サイトからドライバーをダウンロードします。
また、後ほど使う専用ソフトウェアのインストーラーも併せてダウンロードしておきます。
ダウンロードしたZipファイルはそれぞれ解凍しておきます。
Windowsセキュリティ設定の変更
Windows 11環境でドライバーをそのままインストールしようとすると、エラーが発生してインストールに失敗します。これを回避するためにWindowsセキュリティの設定を変更する必要があります。
Windowsの設定ウインドウを開き、「プライバシーとセキュリティ」→「Windowsセキュリティ」と進み、「デバイス セキュリティ」を開きます。
「コア分離の詳細」を押下し、メモリ整合性を「オフ」に変更します。
画面上のメッセージに従い、PCを再起動すれば設定完了です。
ドライバーのインストール
インストール前に、6022BEがPCに接続されていることを確認します(USBケーブルのType-Aコネクタは赤/黒の両方ともPCに接続します)。
タスクバーのWindowsアイコンを右クリックして「デバイスマネージャー」を開き、6022BEが「不明なデバイス」として認識されていることを確認します。
「不明なデバイス」を右クリックして「ドライバーの更新」を選択します。
ドライバーの検索方法として「コンピューターを参照してドライバーを検索」を選択し、先ほどダウンロードしたドライバー(フォルダー「Hantek6022BE」の中身)を参照するよう指定します。
ダウンロード用フォルダー上で解凍を行った場合は、画像と同様のパス指定になるはずです。
インストールが正常に終了したら、専用ソフトウェアのインストールに進んでください。
途中でエラーが発生した場合は、ドライバーのパスを正しく指定できているか、先述のWindowsセキュリティ設定が反映されているかなどを再度確認してください。
専用ソフトウェアのインストール
ドライバーと一緒にダウンロードしておいた「HT6022_Software」フォルダーに入っている「Setup.exe」を実行し、専用ソフトウェアをインストールします。
インストール後、Windowsのアプリ一覧から「Hantek6022BE」を起動し、以下の画面が表示されることを確認します。
以上でドライバーおよび専用ソフトウェアのインストールは完了となります。
セットアップ手順
プローブ補正
6022BEをPCに接続し、6022BEにプローブを繋ぎます(挿してから時計回りに回すことでロック可能)。左側(黄色)のインプットがCH1、右側(青色)のインプットがCH2となっています。
両方のチャンネルを使用する場合は、以降の手順をそれぞれのプローブで行います。
プローブ側面の倍率切り替えスイッチを「10X」に設定し、6022BEにあるプローブ補正器の左側端子にプローブのフックを、右側端子にグランドクリップを接続します。
専用ソフトウェアを起動し、画面上部の「AUTO」アイコンを押下します。
矩形波の波形を確認し、歪んでいる場合はプローブ側面のネジを付属のマイナスドライバーで回して調整します。
波形が整えば、プローブの補正は完了です。
セルフキャリブレーション
専用ソフトウェア上でセルフキャリブレーションを実行することで、オシロスコープの測定精度を高めることができます。使用前の他、周囲温度が5℃以上変動した場合に、この機能を使用します。
この機能は、オシロスコープのウォームアップのため、PCに接続してから20分以上経っている状態で実行する必要があります。また、実行の際はプローブを全て取り外しておきます。
専用ソフトウェア上で「Menu」→「Utility」→「Calibrate」を選択することで、セルフキャリブレーションを実行することができます。
終わりに
最後まで読んでいただきありがとうございました。
記事を書くにあたり、入念に調査を行っておりますが、もし間違いなどありましたら、お問い合わせフォームからご連絡を頂けますと幸いです。
参考
- Hantek 6022BE USER’S MANUAL (Ver. 1.0.5)